日本では古くから、職住一体の住まいが存在していました。
特に、京都の町家に代表される、うなぎの寝床と呼ばれる細長い敷地を活かした住まいは、通りに面した店舗部分と奥に広がる生活空間を巧みに組み合わせた典型的な職住一体の形式でした。

東京の近代的な事例だと看板建築も職住一体型住居だね
近年、リモートワークの普及やライフスタイルの多様化により、再び職住一体型住居が注目を集めています。現代の技術やデザインの進化により、過去の形式を再解釈した新たな住まいのスタイルが生まれつつあります。
本記事では、現代の職住一体型住居の代表的な事例を取り上げ、そのデザインや機能性、さらには住まい手との関わりについて掘り下げていきます!
改修 新宿ホワイトハウス GROUP

Chim↑Pomの稲岡求の作品であるシャワー
磯崎新が1957年に設計した新宿ホワイトハウスは、画家・吉村益信のアトリエ兼住宅として誕生しました。1960年代には、ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズの拠点となり、様々な芸術活動が行われました。
ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズとは?
1958年に日本で結成された前衛芸術グループで、欧米の「ネオ・ダダ」の影響を受けつつ、廃材を使った作品や、街頭での過激なパフォーマンスを行いました。彼らの表現は、身体性や即興性を重視し、アートと日常の境界を曖昧にする試みが特徴です。
その後、建物の用途は移り変わり、カフェやアトリエとして運営された後、現在はアーティスト集団Chim↑Pomのアトリエとして利用されています。
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Chim↑Pom(チン↑ポム)も社会問題や都市環境をユーモラスに発表している前衛アーティストだよね
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新宿ホワイトハウスは赤瀬川原平らに始まり、今もなお日本のアートの象徴なんだ
今回の改修では、増改築が繰り返され住まい手や機能も移り変わってきた既存建物を、ギャラリー、カフェ・バー兼住居にしています。
このプロジェクトの面白い点は、老朽化した構造体に依存せず、自立した屋根や床を外壁に取り付ける形で増築することで、建物の寿命を延ばしつつ新たな価値を加えているところです!

吊るしたコンクリートブロックにより歪みを防いでいる。
次世代のアーティストたちが施主となり、自らの創造的な活動を通じて空間を絶えず更新し続けることで、新たな文化や価値観を発信し続ける拠点となっている点が非常に興味深いですね。
house I/studio I 木村松本建築設計事務所

京都の密集地に建つ職住一体型住居で、伝統的な織屋建てを現代のライフスタイルに合わせて再構築した建築です。
織屋建てとは?
京町家とは違い、屋根が傾斜になっており、背の高い織り機が収納できるように天井高になった西陣ならではの職住一体の町家です。
本プロジェクトでは、天井に透過性のあるFRP平板を用いることで、密集地でも明るさを確保し、北側開口部と天窓からの光が空間全体に広がる設計となっています。
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天井をシルバー塗装にすることで、光をさらに拡散しているね
古くからの京町家のモジュールをそのままに、在宅ワークの多い施主の過ごし方に適応させています。
また天井懐が温熱調整装置としての役割を果たし、作業場としての機能性と住空間としての快適性を両立させています。
2020/はねとくも モクチン企画(連勇太朗)

地元不動産会社と共同で開発された木造賃貸住宅です。3つの住戸に加え、地域に開かれた共有スペースを備えており、入居者がアトリエやショップとして活用できる仕組みが整っています。
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1階のアトリエとテラスをコモンスペースとして、入居者以外にも貸しているんだ
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ユーザーのアクティビティが直接、街の風景になるんだね
モクチン企画は、戦後大量に建てられた木造賃貸アパートを再生することを目的としたNPO法人で、デザインリソース、モクチンレシピを提供することで、誰もが改修を手掛けられるようなシステムを展開しています。
モクチンレシピとは?
モクチン企画が運営している、ウェブ上のデザインリソースで、誰もが使える改修ノウハウを提供しています。
モクチンレシピが提供する既存のレシピを一部改良したり、新しいレシピを開発することで、ユーザーが建築を育てるような仕組みになっています。

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クリストファー・アレグザンダーのパタン・ランゲージみたいに設計の為の様々なカードが用意されているんだね
設計者だけじゃなく、ユーザーも使用しやすいカードを作成することでアクティブな設計・計画を促す活動は現代的なパタンランゲージであると言えますね。
BONUS TRACK ツバメアーキテクツ

庇や外壁を後付け可能にすることで、時間と共に建築の顔が変わる点が特徴的
小田急線の地下化によって生まれた鉄道跡地を活用した、SOHO(Small Office/Home Office)型の住居兼商業施設です。
SOHOとは?
小さなオフィスや自宅を仕事場とする働き方、または物件のこと。場所や時間にとらわれないワークスタイルのひとつです。契約も居住用と事業用で異なり、SOHOは居住用となります。
10戸の住居は、店舗やオフィスとしても機能し、住まい手が自由にカスタマイズできる仕組みを持っています。
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モクチンレシピもそうだけど、賃貸なのに自分で勝手に作り変えてもいいの?
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各テナントとの対話を設計者を通して空間に反映していくボトムアップな手法だから、ユーザー間で話し合って決定を積み重ねるんだ
設計者が与えた空間の選択肢をテナント側が選ぶといった形で、具体的な建築を構築することで、テナントの運営者達が自治体のような働きをすることができます。
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運営者が店舗を個性的にアレンジしていく、下北沢的な雰囲気が伝わるね!
また、第一種中高層住居専用地域と第一種低層住居専用地域の境界に位置しており、商業エリアの雑多な賑わいと住宅地の落ち着いた雰囲気が混じり合った場所でもあります。まさに職住一体を実現するのにふさわしい場所ですね!
まとめ
職住一体型住居は、単なる空間の共有を超え、地域との関わりやライフスタイルの多様化を促進する役割を担っています。ユーザーが空間に関与し、時間とともに建築が成長する姿は、これからの住まいの在り方を示唆しているのかもしれません。
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