大学院入試における即日設計とは
この記事では意匠系の大学院受験を経験した筆者が実際に行った即日設計の対策方法をもとに大学院入試における即日設計のコツをご紹介できればと思います。
大学院を受ける際に意匠系の研究室に所属を希望する場合は、ほとんどの大学院の試験に即日設計という科目が設けられています。
即日設計は時間との戦い!
即日設計は、大学院によって特徴が異なりますが、4〜7時間ほどの制限時間の中で、与えられた課題の要件を満たしながら魅力的な提案をA1やA2の用紙に手描きで設計する試験です。また、自身の活動や作品をまとめたポートフォリオとは異なり、限られた時間の中で設計を行う瞬発力や効果的にコンセプトを伝える表現力などの能力が試される試験です。
これだけ制限時間が長いと自身のやりたいことができそうだぁ!
即日設計試験の制限時間は4時間ほどの大学院もあれば7時間ほどの制限時間を設けている大学院もあるなど様々です。何時間にも及ぶ試験のため一見余裕のある試験かと思いますが、徹底的な時間配分が重要な要素となってくる試験でもあります。練習を初めて行うときは制限時間に終わらないと思っておいた方が良いと思います。
自分の得手不得手を考慮して時間配分を考えたようがよさそうだね。
目標の時間配分を決めて練習をしよう!
即日設計を進めるにあたって筆者は、①エスキース②下書き・ペン入れ③パース・ダイアグラム④着彩・文章の大まかに4項目に分けて進めていました。
制限時間によってフリーハンドで描く箇所や着彩やペン入れの省略によって時間配分を調整していました。問題ごとに各項目にかかる時間も変動し、圧迫されることもあるので時間厳守というよりも一つの目安として時間配分を行なっていました。
①エスキース
1-1.問題文をしっかり読み、エスキース用紙を使って条件を整理しながらコンセプトを練る。
1-2.コンセプトを反映した大まかなゾーニングのパターンを作ってみる(敷地が与えられている場合は敷地の寸法を頼りにスケール感をつかむ)
1-3.条件を満たしているか確認しながら平面、立面、断面を行き来して大まかな設計の概要を決定し、コンセプトを効果的に反映させるための表現やレイアウトを検討する。
②下書き・ペン入れ
2-1.提出図面の縮尺に注意しながら実際に提出する用紙に薄くレイアウトをする。
2-2.平面、立面、断面の下書きを行いながら、設計を確定していく(高さ関係や開口部の位置を確定)。
2-3.下書きをもとにペン入れをする。断面を塗り潰す作業もここで行う。
③パース・ダイアグラム
3-1.コンセプトが伝わりやすいパースの構図をエスキース用紙にて短時間で検討する。
3-2.構成が決定したら提出用の用紙に下書き、ペン入れをする。
3-3.設計趣旨の文章を考えながら必要となりそうなダイアグラムの検討を行う(①のエスキース時に描きたいダイアグラムをなんとなく決めておくと楽)
④着彩・文章
4-1.提出用紙の下書きを消しゴムで綺麗に落とし、全体の統一感を意識しながら着彩を行う(筆者は水彩を使用)
4-2.タイトル・設計趣旨を書き、3-3で考えたダイアグラムを記入と着彩をし、全体的な最終調整をして完成!
なるほど〜!意外とやることが多いんだねぇ。。
各大学によって使える着彩道具が異なるので確認してから練習しましょう!
即日設計の評価軸とは?
即日設計の試験は、点数配点が大きいことが多くどのように評価されているのでしょうか。多くの大学院は点数の内訳は公表されていないですが、以下のポイントが即日設計の優劣をつけるとされています。
- 必要な要件を全て書き込めたか
- 画面に不必要な余白がないか
- 上記を踏まえた上で魅力的な提案となっているか(ここが分かれ目)
1. 2.は最低限クリアしなければならない項目であり、3.は各大学院によって評価される点が大きく変わるので、筆者は各大学院の先輩からのアドバイスを聞きながら対策の方針を決定しました。当サイトでも大学院ごとで評価されやすいポイントをまとめているのでぜひ参考にしてみてください!
コンセプトを効果的に表現しよう!
短時間でコンセプトを作り効果的に伝えるために、気になる建築家の作品集や図面集をはじめ、名作建築の構成などをまとめた本を参考にしながら、アイデアやダイアグラムのバリエーションのストックを行っていました。
大学によっては詳細図を求められることもあり、コンセプトを細部まで反映させるために、自分の好きな建築家のディテールなどを参考にしながら楽しく対策するのは効果的だと思います。
これらをベースに練習を繰り返すことで自身の得意とする表現やコンセプトを短時間の試験時間の間にアウトプットできるようになっていった感覚でした。
よし!建築家の図面をとにかく模写するぞ〜!
図面も大事だけど、パースがないと空間を伝えにくいよね。
また、図面やダイアグラムだけでなくパースによる表現も重要な要素の一つです。透視図法や構図の基礎を身につけた上で、練習を重ねて自身の表現を模索しました。
パースを効果的に使えるようになってくると図面だけでは伝えきれない空間を表現できるようになるので、説得力のある即日設計になっていくと思います。
※パース講座の記事を作成中ですので、パースの基本的な描き方から表現まで詳しく解説していきたいと思います。(リンク)
筆者が参考にした本も紹介しておきます。(図解アトリエワン、名作解剖図鑑?のアフィリエイトのリンク)
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