概要
東京藝大の試験は、一日目に学科試験、二日目に即日設計、三日目に即日設計の質疑応答という日程になっています。そのため、即日設計は、7時間程度と他の大学院入試の即日設計よりも長い試験時間となっていることが多いです。
出題内容は小〜中規模の設計をすることが多く、共同住宅をはじめ、消防団詰所、クライミングジム、学校など様々な用途が過去に出題されました。
東京藝大の即日設計は、規模は比較的小さいものですが、小規模であれば1:50の図面や部分詳細図などが要求される年もあるので建築構法や建築家の図面集などを参考にして基礎をはじめどのような応用のされ方がされているのか知っておくと安心です。
提出用紙はA1用紙を2枚使う年もあり、時間配分の難しさと作業量の多さが特徴的でもあります。毎年のように提出用紙の枚数やフォーマットが異なるので、様々な過去問に取り組んでいくことが重要です。
まずは時間配分の管理や効率よく画面を埋められるように練習していきましょう!
要件の複雑さを解いていくような問題の出題だけでなく自身の思想を問われるような問題が出題される年もある点が東京藝大の即日設計の特徴として挙げられます。
時間配分例
東京藝大の即日設計は7時間程度ですが試験時間が変わることもあります。募集要項に試験日程と即日設計の時間が記載されているので、募集要項が発表されたらすぐに確認してその試験時間に沿った練習をしていきましょう。
一見試験時間が長いように思えますが、思った以上に時間がないので、良いコンセプトを作ろうと何時間も案を練るといった事をしないように気をつけましょう。
良い設計をすることはもちろん重要な要素ですが、完成していないと採点の土俵に乗ることができないと考えて、図面と着彩など全体の完成度をきちんと確保することが最重要事項です。
私が実際に練習時間で参考にしていた時間配分をご紹介したいと思います。(私が受けた年は7時間でした。)
0:00〜1:00 エスキース
課題文の熟読、必要図面、条件の把握
与えられた条件を取りこぼさないように注意しながら、登場する人物の個性や要望、周辺環境との関係性を考慮した上でゾーニングのパターンを出し、断面の大まかな検討も同時に行いました。配布されたA3のエスキース用紙にスピーディーに検討していきます。
1:00〜2:30 下書き
提出用紙に必要図面のレイアウト検討、図面の下書き線を描く。
エスキースで案をなんとなく決定したら、提出用紙にレイアウトしていきます。最初に設定したコンセプトを効果的に表現できる図面配置、主にメインとなる図面を中心に要件のスケールを満たすように全体のバランスを考えて検討します。
エスキースの時間で検討しきれなかった開口部や
2:30〜4:30 ペン入れ
下書きを太さの異なるペンでなぞり図面の清書を行い、下書き線を消す作業を行う。
私は清書用のペンはボールペンを用いていました。着彩に水彩を用いる場合は耐水性や油性のペンを用いるなどして、水彩が滲んでしまう水性のペンを使わないように気をつけましょう。
線の太さは、断面線が強調されるように太めのペンと、添景や背景の描き込みをするための細いペンで画面の強弱をつけていくことを意識しました。
4:30〜5:30 パース
内観、外観パースを求められ、図面を描いた提出用紙とは異なるA3程度の提出用紙にパースを描くことが近年多いです。自身のコンセプトに合ったパースの枚数や構図を設定した上で下書き、ペン入れなどをこの時間に終わらせるようにしました。
5:30〜6:00 ダイアグラム・文章
東京藝大は200字程度の設計趣旨を書きなさいといった文字数の大まかな指定がされることが多く、課題によって指定される文章量は異なります。また、ダイアグラムも必要条件になることもあるので効果的に用いて説明できるようにしましょう。試験時間が7時間といった年は昼休憩の際に文章をなんとなく考えながら昼ごはんを食べました。
6:00〜7:00 着彩
着彩道具は自由ですが、コピックなどのマーカー類、色鉛筆、水彩などが主流です。私は水彩を使用していました。効率よく画面を埋められるだけでなくコツを掴めば時間短縮になるのでおすすめです。
他の作業の時間がオーバーした場合は着彩の時間を40分くらいに設定して時間調整を行なって全体の完成度とのバランスをとっていました。
着彩が終わったら最後に受験番号の記載漏れがないか、図面名称の書き忘れや誤字脱字などがないかを確認しましょう。
面接
3人ごとに呼び出されて、前日に行った即日設計を教授陣の前でプレゼンテーションします。持ち時間は一人1~2分ほどで簡潔にどんな設計をしたのかを説明し、希望する研究室の教授からの質問が一度だけあり、それに答えて試験終了となります。
即日設計の文章で言及できなかったことや、試験後に冷静になった状態で夜に自身のコンセプトや課題文をどのように解釈したのか等を整理して次の日の面接に臨みました。
即日設計が終わったら翌日の質疑応答の準備しておきましょう!
まとめ
東京藝大の即日設計は、他の大学院と比べても試験時間が長いので、過去問にとにかく取り組んで時間の配分感覚を身につけていきましょう。練習をこなしていく中で自分の得意とするパターンや表現が次第につかめてくると思うので、めげずに継続して頑張りましょう!
また、他大学院のように紙面を埋めるためのパースの役割とは異なった、別紙にパースのみを描かせるといった指定をされる年もあるので、比較的大きめに安定したパースを描く練習もして別紙を含めた提出用紙全体の完成度を上げていくことも重要だと感じました。
また、当サイトでは東京藝大 大学院の合格体験談を掲載していますので、スケージュールを立てる際などの参考にしてみてください!
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